乳がん体験記ー片胸は失いましたが 私は生き生きと暮らしています

乳がん体験記片胸は失いましたが-私は生き生きと暮らしています
5年前40代で乳がんの手術を経験しました。

告知の時には、まさか私が・・・。と、身体がかたまり、言葉が出ませんでした。

それでも希望を持って手術に臨み、5年を過ぎた今、元気に暮らしています。

乳がんは、術後3年、5年、10年がひとつの区切りとなります。

3年、5年の2つの壁を乗り越えて、あのとき検診を受けてよかった。

こころからそう思うのです。

同じ女性として、私は皆さんにぜひ癌の検診を受けていただきたいと思います。

乳がんも、早期に発見できれば、全く心配がいらない状態になるのです。

発見が遅ければ遅いほど、治療も辛くなります。費用も高額になります。

もっと早く検診を受けていればよかった…。そんな後悔をしないためにも、思い立ったらすぐに検診の予約を入れていただきたいと、強く希望します。

 

乳がんとは

一般的に乳がんの自己検診法は、

1 生理が終わってから、右手を上げて、右の胸をさわる。

2 次に、左側も同様にさわってみる。

3 胸だけではなく、わきの下や首の付け根もさわってみる。

そして、自分でさわってみて、胸の中に梅干のようなしこりを感じたら、それが悪いものである可能性が高いと言われています。

乳がんと診断されると 病気の進み具合によってステージが決まります

このステージは、がんのできた場所によって違いますので、ほかのがん(胃がん、子宮がんなど)とくらべることはできません。

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以上の生存率を見ても、検診による早期発見の大切さがわかります。

 

はじめて検診に行く

「私、今年乳がん検診しようと思っているの」

たまにランチを楽しむ看護師の友人のその一言で、2年に1度の市の乳がん検診に、挑戦することにしました。

看護師の彼女が言うのなら、私もやってみようと思ったのです。

ふたりとも45歳、夏真っ盛りの頃でした。

 

はじめての検診と検査の内容

「マンモってすごく痛いらしいわよ」

友人とそんなことを言いながら、かなり不安な気持ちで、初めてのマンモグラフィーを受けました。

市の検診は3種類です

1 マンモグラフィー

2 エコー

3 医師による触診

まずは、マンモグラフィーです。上半身裸になり、マンモの機械の前に立ちます。片方の胸を突出し、透明な板ではさんでつぶします。

ある程度つぶれたら、今度は検査をする人が手でねじを回して、さらにつぶします。

確かに痛いです!!

それは、えぐられる痛みではなく、切り刻まれる痛みでもなく、踏まれる痛さだと思えばいいでしょうか。ほんの10秒くらいです。

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マンモが終わると、エコーと乳腺科の医師による触診です。

「はい、なんともないですよ」

医師からそう告げられ、初めての検診は終了しました。

これで2年は安心できる。そう思って、それから胸には何の興味も示しませんでした。

イラスト:医療法人光生会 http://www.koseikai-hp.or.jp/kouseikai_index/kouseikai_deviceindex/01_koseikai_h_44.html

2回目の検診

それから2年後、やはり真夏のある日、同じ友人と今度はお気楽な気分で検診に出かけました。

マンモが終わり、エコーと触診です。

「あっ、ここになにかありますね」

触診で医師にそう言われました。

左胸の下に、ぷよぷよしたやわらかい塊がありました。

「悪いものではないと思います。一応再検査になりますよ」

気楽に出かけた検診で、まさかの言葉でした。

でも、悪いものではないと言われたのだから、あまり気にも留めませんでした。

それにしても、自覚症状は全くありませんでした。痛みやかゆみ、胸のひきつった感じも、一度もなかったのです。普段自分でさわっても、ぷよぷよには気がつきませんでした。

 

再検査の方法と、結果発表

乳がんの患者さんが増えています。乳腺科は、超満員で、予約が取れません。

市から、再検査の通知を受け取ってから、1か月後くらいに、ようやく予約がとれ、病院に行きました。そこは、市では2番目に大きい総合病院です。

 

再検査方法

再検査では、もう1度マンモグラフィー、胸部CT,エコー、触診を行います

2度目のマンモグラフィーは、横方向につぶしたあと、今度は縦方向につぶして撮影をします。その後、造影剤を点滴してのCTエコー乳腺科医師による触診で、結局ぷよぷよの正体が何かがわかりませんでした。

生検をしましょう」医師からそう告げられました。

「生検?」初めて聞く言葉に戸惑いました。

生検(マンモトーム

生検とは、局所麻酔をして、胸にあるぷよぷよのところまで太い針(5mmくらいらしい)を刺し、ぷよぷよの部分の細胞をとり検査するものです。

数10分で終わり、普通に帰ることができます。

検査中は痛みを感じませんでしたが、家に帰り、夜寝ようと横になった途端、猛烈に痛くなり、ひと晩苦労しました。それでも医師からは「多分心配はいらないと思いますよ」と言われていましたので、検査結果も何も気にしないで聞きに行きました。

 

再検査の結果発表

生検から1週間後、結果を聞くためにもう1度病院に行きました。

「おひとりでいらしたのですか?」

医師にそう聞かれ、なんだかいやな気分になりました。

「残念ですが、悪いものでした」そう言って、医師は検査結果が書かれた紙を出してきました。

一瞬頭が真っ白になりましたが、しっかりしなくてはいけません。

「さいわい、おとなしいタイプの癌です。もっとくわしい説明をしなくてはいけませんね」

そう言う医師に、「先生、転院をお願いします」と、私はすぐに言ったのです。

なんとなく以前から、乳がんになったら、絶対にここの病院に行こうと決めていたところがあったのです。

早く言わないと、どんどん言いにくくなってしまいそうなので、医師の話しを聞く前にそう申し出をしました。医師は、気分を害する様子もなく、手続きをしてくださいました。

病気との闘いが始まりました。

 

手術までの検査と 全摘の決心

転院後の検査

新しい病院には、1週間後に予約が取れました。家から新幹線を使って、2時間以内に行くことができる場所にあります。乳がんでは日本一と言われている病院です。ものすごく混んでいる病院なので、検査や手術日は、まるで取り合いのようです。

混んでいるので、検査も1か月半以上かかりました。

胸のエコー首リンパのエコー腹部エコーMRI骨シンチ(癌が骨に転移しているかという検査)、手術のための検査等々病院には8回ほどの通院をして、手術のための準備をしました。

くわしい検査の結果は、乳がんでは100人に2~3人と言われる『粘液がん純型(ピュアタイプ)』。これは、ゼリー状の膜の中にがん細胞が浮いているタイプだそうです。だから、さわるとぷよぷよしていたのですね。

ぷよぷよのサイズが2cm以上でしたので、ステージは2a、リンパや他の臓器への転移はありませんでした。

このタイプの癌には、抗がん剤がないために、胸をぜんぶ切って取ってしまう手術(乳房全摘出手術)だったら、切っておしまい。温存手術だったら、放射線治療があると言われました。

先生は、温存で十分だとおっしゃいました。私は考え、悩みました。

 再発など、また悪くなるかもしれない胸を持ちながらの生活に対する不安感

 取ってしまったら、2度と戻らない私の胸

 放射線は6週間 新幹線で毎日通えるだろうか

  体力は?

 あのとき 取ってしまえば良かったと、後悔する日は来ないだろうか

考えに考えて、全摘を選ぶことにしました。

先生は、手術の前日まで、待ってくださるとおっしゃってくださいましたが、私の決心は変わることはありませんでした。

手術は、お正月明けすぐでした。

47歳。夏の暑い日、鼻歌を歌いながら検診に行ってから、4か月以上が過ぎていました。

 

入院手術と 入院費用

ここで、入院、手術にかかる費用と、生命保険についてまとめてみます。

 

入院費用

●●● 転院先の病院で入院までの費用(検査、診察等)●●●

約9万円プラス交通費

●●● 入院手術費用(入院は10日間)●●●

 

入院手術費用(健康保険3割) 83510円 ※
先進医療(センチネルリンパ節生検)

(保険適用外)

5万円
食事代 6500円
  合計 約14万円

※入院前に市役所の健康保険課で、高額医療費の控除を受けたので、保険での治療の部分は83510円を支払っただけでした。

控除を先に受けない場合、とりあえず入院費用60万円~70万円の3割、20万円前後を支払うことになります。そして、何か月か後に差額が戻ってきます(自己申告)。

 

生命保険

私は2つの掛け捨てタイプに入っています

がん保険 

診断給付金 100万円
入院給付金 1万円/日
通院給付金 1万円/日
先進医療給付金 治療により金額が違う

 

普通の保険 

入院給付金 1万円/日
手術給付金 手術1回に付き20万円

 

両方とも 毎月5千円程度の支払いです

病院でもらう診断書を郵送で提出すると、2日くらいで振り込まれます。

私は合計210万円受け取りました。

がん保険 診断給付金 100万円
  入院給付金 10万円
  通院給付金 60万円(術後のリハビリで通院)
  先進医療給付金 10万円(センチネルリンパ節生検)※
普通の保険 入院給付金 10万円
  手術給付金 20万円
    合計210万円

※ センチネルリンパ節生検・・・2010年4月以降、乳がんのセンチネルリンパ節生検は、保険適用の治療(自己負担は原則3割)になった。(ウィキペディアより)

 

入院生活

手術1日~2日前に入院をしてから退院までの約10日間は、あまり身構えなくても大丈夫です。

スケジュールは、

手術前日 最終検査(センチネルリンパ節生検)と手術の説明。

手術当日 絶食。 手術後はICUではなく、自分のベッドに戻ります。

ひと晩は、麻酔の副作用で頭痛、吐き気、腰痛に悩まされることもあります。付き添いはいりません。

手術後 明け方ごろから強制的に起こされて、朝食のみおかゆ。昼食からは普通食となります。

手術時に、ドレーンと言って、体液を体外に出すために管のついたポリバッグを持ち歩きますが、その体液が減って、血液がまじらなくなったら退院です。

ご家族が忙しくて、あまり付き添えない状態でも、まったく心配はいりません。

手術は、臓器ではないので、開腹をしません。

からだの外の「おでき」を取るようなものですから、手術当日以外は自由に歩くことができます。食べるものの制限もありません。お洗濯も、病棟の洗濯機を使って、自分でできます。むしろ、全部自分でやらないと、筋力が低下してしまい、自宅に帰ってからが大変になってしまいますから、病気だと思わず、積極的に動いた方がいいです

退院の時、荷物さえ送ってしまえば(さすがに痛くて重いものは持てません)ひとりで電車に乗って帰ることができます

 

がん友

手術が終わると、それぞれのタイプに応じて、その後の治療方法が異なります。病気になって、10人くらいの同じ病気の友人ができましたが、副作用のそれぞれ症状は異なります。

放射線治療は、治療時間は5分程度のことだけれど、数週間すぎると、ものすごく疲れてくるそうです。病院が遠い場合には、入院になることもあるそうです髪の毛もかなり抜けると聞きました。癌細胞を徹底的にたたくには、それ相応の体力も必要なようです。

抗がん剤治療は、使う薬が違うせいでしょうか、人によって症状が違うようです。抗がん剤の点滴終了後2~3日で、気持ちが悪くなる人、全然大丈夫な人。髪が抜けて、かつらが必要になる人、ならない人。

私たちは、情報として、抗がん剤治療の最悪の副作用を知っていますが、実際、のたうちまわるほどの苦しみになった人は、まわりにはいませんでした。確かに、気分が悪くて何もできない状態になることもあるようですが、それで、生活に支障が出てしまうほどではなかったようです。ドラマなどで観ている副作用の印象を強く持ちすぎると、抗がん剤治療が怖くなりますから、それぞれが使う薬による副作用を、正しく知ることが重要です。

 

退院後

入院時、手術後に腕を上げる訓練が始まります。この訓練をしないと、手術した方の腕が上がらなくなってしまうのです。病院で教えてもらった訓練を毎日何回か、欠かさず行います。

重いものは、当分の間、痛くて持てません。

自転車も乗ることができません。

私は、この腕上げ訓練がじょうずにできず、退院後10日目の診察でダメ出しをされれしまい、3か月間地元の整形外科に通いました。リハビリテーション科がある個人医院です。そちらで、マッサージを中心として、腕の筋力をつける運動をしました。きちんと通いましたので、今では100%腕が上がります。

術後、自分の体から出されたしこりは、徹底的に調べられます。そして、それ以後の治療方針が決まるのですが、私は、初めの診断と同じように、抗がん剤、放射線なしで、5年間ホルモン剤を飲みました。髪の毛が全体の3~4割抜けてしまいましたが、そのほかの副作用は現われませんでした。ホルモン剤を飲むと、一般の人よりも多少子宮がんのリスクが上がるので(0.3%→0.8%)、子宮がん検診は受けるように指導されます。私は、半年に1度検査を受けました。

5年が過ぎると、1年に1度病院での検査があります。のこっている方の胸のマンモグラフィーとエコーです。主治医との話しも世間話しとなります。

 

同時再建

入院中にできた友人が、片方全摘をして、同時再建をしました

同時再建は、あまり簡単だとは言えないと思います。

手術で片方の胸の全摘が終わると、その場で形成外科の医師と交代して、再建の手術が始まります。シリコンがアメリカ製で多少大きいとのことで、小さいバストの人は、両胸再建になります。

まずは手術直後、組織拡張器(ティッシュ・エクスパンダー)を入れて、胸の皮膚を伸ばします。

3か月おいて、また入院手術です。やわらかくなった乳房から組織拡張器(ティッシュ・エクスパンダー)を取りだし、今度は本格的なシリコンを入れます。そのままですと、おわんをひっくり返したような状態になるので、おなかやおしりの脂肪をシリコンのまわりに入れて、自然な隆起とします。

それからまた数か月後、乳首を作ります。残っている方の乳首を半分切り取って、なにもない全摘したほうの胸に移植します。その後、乳首のまわりに、針で色を植えていきます(入れ墨)。それが乳輪となります。

友人の話しでは、自分の胸ではないので、寄せたり上げたりができず、ずっと定位置にある状態なので、決まったブラジャーしか使えないと言っていました。いつもと違うブラジャーを使うと、カップの位置が胸と合わず、痛いんだそうです。

 

乳がんになって

入院中、何人もの同じ病気の人の話しを聞きましたが、みなさん検診でがんが見つかっていました。中には、たまたま行った検診で見つけたときには、もうリンパまで転移をしている状態の人もいました。

最近では、小林麻央さんや北斗晶さんをはじめ、有名人の乳がんのニュースを目にします。

北斗さんの闘病のニュースを読んで、検診に行く人がとても増えたそうです。若いうちから検診に慣れておいて、小さいがんが発見されたら、すぐに取ってしまう。そうすれば、大したこともなく、人にも知られず、きちんと社会復帰ができます。

私のまわりには、私も含めて、胸を失ってくよくよしている人はいません。

堂々と温泉に行き、術後できたパートナーと仲よく過ごしている人もいます。ある程度の年齢になったら、恥ずかしいという気持ちをなくして、自分の命を守る行動をしていただきたいと思います。

命を守ってくれた検診です。

私はこれからも、ほかの臓器の検診もきちんと受け続けようと思います。

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